「terror」と「horror」の違い

前提知識

「horror」と「terror」はどちらも「恐怖」という意味ですが、その違いについて説明します。

■「horror」の意味

カタカナで書くと「ホラー」で、「ホラー映画」という様にこちらは日本人になじみのある英単語かと思います。ホラー映画は今でこそ日本作品もありますが、一昔前はアメリカ作品が日本では主流でした。 そんなアメリカのホラー映画を想像してください。少女に憑依した悪魔やジェイソンに襲われている時のような恐ろしい光景や、それに伴う音や光など、実際に目の当たりにしている嫌悪感を伴う激しい恐怖がhorrorの意味です。

■「terror」の意味

カタカナで書くと「テラー」で、ホラーよりは馴染みが薄い単語かと思います。例えば森の中でクマに遭遇したとします。あなたはクマは人を襲う動物であると知っており、これから自分もクマに襲われ食べられてしまうのではないかという激しい恐怖を覚えます。これがterrorです。 もう一つの例として、日本のホラー映画を想像してください。真夜中に寝室でふと目が覚めた時に、しとしとなる雨の音が床の軋みの様に聞こえ「何かがいるのでは？」と思う恐怖がterrorとなります。 つまり過去の経験に基づき、これからもたらされるであろう「horror」を想像したことによる恐怖が、terrorとなります。

なお「ナイトテラー:night terror」は夜驚症といって、極度に夜を怖がることを言います。これも想像によってもたらされる恐怖です。 また「テロリスト：terrorist」はterrorが語源ですが、テロはホラーを人々に与えることが目的ではなく、テラーを与えることによって政治的要求を通す、あるいは人を支配することが目的です。

■terrorこそ至高の感情

horrorは五感の刺激によって今まさに体験中の恐怖である一方、terrorは想像によってもたらされた恐怖のため、terrorには崇高なイメージが伴います (ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』では、想像してそこから物語を作り出すのは人間たらしめる行為と言及されている)。 terrificに「素晴らしい」という意味があるのはそういった理由になります。なおhorrificには素晴らしいという意味はありません。

terrorとhorrorの違いについて、ホラー小説の代表作家ともいえるスティーブン・キングは次の様に言及しています。

■terror, horror以外の恐怖

以下があります。それぞれの意味の違いの詳細説明は割愛します。

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