地震のP波, S波とは, 人工地震との違い



雑学のこと

公開日:2024/1/2    

■P波、S波とは

P波とは、地震の時に波の進行方向と同じ方向に振動する縦波のことで、振幅は小さいが進行速度が速い(秒速 約7km)ため初期微動を引き起こします。PはPrimary(最初の)を意味します。 S波とは、波の進行方向に対して垂直方向に振動する横波のことで、進行速度は遅い(秒速 約4km)が振幅が大きいため主要動を引き起こします。SはSecondary(2次的な)を意味します。



P波、S波の波形時系列データのイメージは以下のとおり。P波とS波の進行速度が異なるため、計測地点が震源からの距離から遠くなるに従いP波を観測できる時間が長くなります。


■地震波形の見方

実際の地震の波形データは「防災科学技術研究所のK-NET」から得ることができます。波形例は以下のとおり。


■人工地震の波形

核爆発などによって引き起こされた振動(これを人工地震という)の波形データは、自然の地震と異なりP波が存在せずS波だけが計測されるため、自然の地震と見分けることができます。以下は北朝鮮の核実験時の波形データです。 振動の一発目に強いピークがあるのが分かります。


<自然の地震を人工地震の波形と見誤る場合>
自然の地震であっても人工地震と見誤ってしまう場合があります。下記の波形は、2024年1月1に発生した能登半島地震の波形データですが、左側の波形は一見するとP波が無い様にみえます。 P波が無い様に見える理由は以下が考えられます。

・震源地からの距離が非常に近い場所の計測データだった

・P波はZ方向に対する振動が小さいため、Z方向の計測データに表れにくい


しかし、下記の右側の震源地からの距離が遠い場所での計測データを見ると、しっかりP波が存在しているのが分かります。



人工地震であるという根拠データが提示された場合、そのデータは震源からの距離が何kmか、X/Y/Zどちらの方向のデータなのかをきちんと確認して、正しい判断ができるようにしましょう。




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